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2025.05.06

法面工事の現場で分かった商品開発を左右する現実

 

北摂constructionの

職人と監督の“本音”から導く

建設業の製品開発論

 

建設業における商品開発は、他業界と比べても特に“現場の声”の重要度が高い業種です。

近畿一円で法面工事を行う北摂constructionとして日々現場に立つ中で、メーカーが試作品を持ち込み、

職人が実際に使い、その感想を直接ヒアリングする場面に多く立ち会ってきました。

その中で実感するのは 「机上で考えたモノでは、現場は動かない」 というシンプルな事実です。

使うのは現場の職人であり、そこで初めて道具や資材の“本当の使いやすさ”が浮き彫りになります。

この「実使用による評価」が商品開発にとって最も重要な情報であり、施工能率と利益向上にも直結するからです。

しかし同時に、現場で好まれる“良いモノ”が必ずしも市場で売れるとは限らないという、建設業界ならではの構造があります。

本コラムでは、建設業の商品が売れる理由、職人・監督・発注者それぞれの立場の違い、そして売れる商品開発の本質について深掘りしていきます。

 

 

 

職人が使いやすいモノが

「良い商品」とは限らない理由

 

現場の職人は実際に手に取り、施工を行う当事者です。

だからこそ 「使いやすい」「安全」「能率が上がる」 といった職人目線の改善点は非常に重要で、商品開発の出発点になるべきです。

事実、試作品を現場で試すと、職人からは細かな改良点が次々と出てきます。

 

• 重さのバランス

• 持ち手の角度

• 本体の剛性

• 現場での使い回しやすさ

• 足場上での取り回しのしやすさ

 

これらは机上では絶対に気づけない部分であり、メーカーも現場での声を反映させて初めて「本当に使える製品」へと成長させることができます。

しかし現場にはもう一つ、大きなポイントがあります。

特殊な道具は“職人が個人で買う”ケースがほぼ無い。

特殊工具・資材・治具類の多くは、職人個人が購入ではなく元請け支給で提供されます。

つまり、(現場代理人・現場担当者) であり、職人ではありません。

ここに市場構造上の大きなギャップが存在します。

 

 

商品を選ぶのは現場監督

監督が重視するのは

「点数につながるモノ」

 

建設業界、とくに公共工事では「点数」という評価指標が存在します。

これは竣工時に行われる採点であり、発注者(役所)が工事全体を評価する制度です。

したがって、監督が好む商品とは、点数につながるモノであり、職人目線の“使いやすさ”だけでは十分ではありません。監督が評価するポイントは明確です。

 

 

 

監督が評価する

 “点数につながる商品”の特徴

 

品質が向上する製品

施工品質が安定・向上する商品は、監督にとって大きなメリットです。品質にばらつきが出にくい治具や資材は特に評価されます。

 

出来形精度が向上する製品

施工結果の寸法・形状が設計通りに収まりやすい製品は、監督の信頼を得やすくなります。

 

安全性が向上する製品

安全性は最重要項目です。

危険リスクが下がる製品は「採点対象」としても強い訴求力があります。

 

視界性が向上する製品

法面工事は特に視界性が重要な職種。

監督が確認しやすい=管理しやすい=評価しやすい、という構造があります。

 

工事PR性がある製品

現場看板・資材・機材など、PR効果のあるモノは役所へ強くアピールできます。

特殊製品が「導入実績」として自治体に記録され、次の仕事につながるケースもあります。

 

環境配慮(リサイクル・CO₂削減)製品

現在の公共工事では環境配慮が重要。

• リサイクル材

• CO₂削減に寄与する製品

などは採点対象に組み込まれる自治体も多く、監督から強い支持を得やすい分野です。

 

 

商品開発で最も売れるラインは

「職人×監督×発注者」の

三位一体

 

職人の声は非常に重要です。

しかし買うのは監督であり、評価するのは発注者です。

だからこそ、建設業の商品開発では 三者の視点すべてを満たす必要があります。

 

視点

重視ポイント

職人

使いやすい・能率UP・安全

監督

品質UP・出来形精度・点数につながる要素

発注者(役所)

PR性・環境配慮・施工結果の明確な改善

 

この3つが揃うと、製品は市場で強力な価値を持ちます。特に公共工事の世界では、以下のような「根拠」があると非常に効果的です。

 

• ○○製品を使用したことで品質の向上が見られた。

• ○○製品の活用により出来形精度が向上した。

• ○○製品を使用して工期を1週間短縮できた。

 

こうした“現場の成果”がある製品は導入しやすく、監督側の説得材料にもなります。

 

 

結局、売れる製品を

 決めているのは監督である

 

近畿一円の法面工事に限らず、土木業界全体で見ても、

最終的に購入判断を下すのは現場監督 です。

職人が「これ使いやすい」と感じても、

監督が「点数に繋がらない」と判断すれば、その製品は選ばれません。逆に、監督が

 

• 品質UP

• 安全性向上

• 工期短縮

• PR効果

• 環境配慮

 

といったメリットを実感できれば、その製品は広がりやすくなります。

では、メーカーは何を重視すべきか。

 

 

売れる建設資材、

 工具の商品開発の本質

 

現場で必ず試すこと(現場評価)

机上設計だけでは不十分。

使用者である職人の感想には、改善のヒントが集約されています。

 

職人の声+監督の評価軸を両方取り込むこと

使いやすいだけでは売れない。

点数につながる機能性を同時に備えることが必須。

 

「導入後の成果」を明確に伝えれる商品であること

工期短縮、品質向上、出来形精度、安全性、PR性など、

数字・根拠として示せる成果があると強い。

 

発注者(役所)へのアピールを意識すること

環境性・リサイクル製品・CO₂削減など、世の中の要請に沿った性能は評価されやすい。

 

 

北摂construction

 として伝えたいこと

 

法面工事は自然相手の仕事であり、状況は常に変化します。だからこそ、職人の経験と現場のリアルな声が最も価値を持ちます。

しかし同時に、建設業は「評価される工事」をつくる責任があり、

監督が採点基準を意識するのは当然のことです。

つまり、本当に売れる製品とは、職人も監督も発注者も納得するモノであり、そのためには「現場で試し、現場で聞く」ことが何より重要なのです。

北摂constructionが日々の法面工事で感じるリアルを、

これからも建設業界全体の品質向上に生かしていければと思います。

 

 

 

参考資料

 

• 国土交通省

 「公共工事の品質確保の促進に関する法律」

• 国土交通省

 「総合評価方式における評価項目・加点項目」

• 建設業法

 (品質確保・安全管理・環境配慮に関する規定)

• 全国土木施工管理技士会連合会

 各種技術資料

• 環境省

 「CO₂削減関連技術資料」

• 国土交通省

 公共工事における出来形管理要領