北摂constructionが
考える建設業の未来
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官の雨とは?
建設業における意味
「官の雨」とは、国や自治体が公共工事や補助金といった形で社会に振りまく資金や制度を指す言葉です。
特に建設業にとっては、古くからこの「官の雨」が大きな役割を果たしてきました。
道路や橋梁、河川改修といったインフラ整備はもちろん、災害時の復旧・復興工事においても、官による予算措置や発注がなければ成り立ちません。
私たち北摂constructionも、関西の法面会社として数多くの公共工事に携わってきました。
特に法面工事は、大雨や台風による土砂崩れを防ぎ、人々の暮らしを守るために不可欠な事業です。
近年では気候変動による異常気象が増え、豪雨災害や地震に伴う斜面崩壊が頻発しています。
こうした自然災害のリスクに対しては、官による予算配分が拡大する傾向にあり、緊急対応や維持補修工事の需要も増加しているのが現実です。
つまり、「官の雨」は私たち建設業にとって命綱であり、社会インフラを支える大きな基盤なのです。

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官に頼ることの
意味と課題
しかし一方で、「官の雨」に頼りきることには大きなリスクもあります。国や自治体の財政状況や政策方針によって予算は増減し、入札制度の改正によって価格競争が激化することも少なくありません。特に地方の建設業や中小規模の関西の法面会社にとって、低価格受注は経営を圧迫し、現場で働く人材の待遇悪化につながります。
現場でよく耳にするのは、「人が集まらない」「熟練の技術者が高齢化で引退してしまう」「若手が続かない」という声です。法面工事は高い専門性が求められる分野であり、経験豊富な職人の減少は大きな課題です。災害が起きるたびに必要とされる仕事であるにもかかわらず、人手不足が続けば、いざという時に対応できないリスクが高まります。
さらに、公共工事の予算縮小や制度変更は現場を直撃します。「今年は補助金が減ったから工事も減る」といった事態は決して珍しくなく、それに翻弄されてしまうのが現状です。つまり、「官の雨」は建設業を支える一方で、振り方次第では私たちを直ちに干上がらせてしまう可能性もあるのです。

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官と民の
パートナーシップが必要な理由
だからこそ、これからの建設業には「官の雨」だけに依存しない仕組みが求められています。公共工事は必要不可欠ですが、それだけでは業界全体が持続可能な成長を遂げることはできません。重要なのは、官と民が互いに補完し合う「パートナーシップ」を築くことです。
例えば、私たち北摂constructionでは法面工事の専門会社として、地域住民に施工内容や安全性を理解してもらう活動を積極的に行っています。
住民説明会や現場見学会を通じて、「なぜこの法面工事が必要なのか」「どのような方法で安全を確保しているのか」を丁寧に説明することで、地域の方々と信頼関係を築いてきました。こうした取り組みは、単なる工事の請負ではなく、「地域と一緒に防災を考える」という姿勢につながっています。
また、民間企業の技術革新も大きな役割を果たします。
ICT施工、ドローン測量、3Dモデルによる設計・管理など、最新技術を現場に取り入れることで、より効率的かつ安全な施工が可能になります。
こうした技術革新と住民参加を組み合わせることで、「官の雨」だけでは実現できない地域防災の仕組みをつくりあげることができるのです。

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官の方々に伝えたいこと
関西の法面会社として現場に立つ私たちが強く感じるのは、「制度と現場の間にはまだ大きな溝がある」ということです。制度設計は理念に基づいて行われますが、実際の現場では予想外の課題が次々と生じます。例えば、設計上は想定されていなかった土質の違い、急な天候変化、地域住民からの要望など、現場だからこそ分かることは数多くあります。
官の皆さまにお願いしたいのは、こうした「現場の声」をもっと政策や制度に反映していただきたいという点です。施工後の維持管理計画に現場作業員の意見を取り入れることや、若手技術者が将来を描けるような長期的なビジョンを共有することができれば、公共工事の質や効率性はさらに高まるはずです。
私たち北摂constructionは、現場で見えるリアルな課題を発信し、官と民が共に解決策を考えていく姿勢を大切にしています。そうすることで、建設業全体の持続可能性は大きく向上すると信じています。

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北摂constructionの
これからの挑戦
最後に、北摂constructionの今後の挑戦について触れたいと思います。
私たちは「官の雨」に支えられながらも、それに依存しすぎることなく、自らの力で地域に貢献できる仕組みを模索しています。
具体的には、以下の取り組みを進めています。
• ICT施工の導入
ドローンによる法面計測や三次元データを活用した施工管理を積極的に導入し、施工精度を高めつつ作業員の負担を軽減。
• 安全教育の見える化
危険予知活動(KY活動)をデジタル化し、若手も直感的に理解できる教育体制を整備。
• 地域との協働
地域住民向けの現場説明や、子どもたちへの職業体験イベントを通じて、建設業への理解と親しみを広げる。
• 働き方改革の推進
長時間労働を是正し、休日の確保や労働環境改善に力を入れることで、若い世代や女性が安心して働ける現場を実現。
これらの挑戦を積み重ねることで、関西の法面会社として地域の信頼を得ながら、持続可能な未来を築いていきたいと考えています。私たちの使命はただ工事を完了させることではありません。
官と民のパートナーシップを深め、建設業のイメージを刷新し、次世代に誇れる社会インフラを残すことです。
これこそが、北摂constructionが担うべき責任であり、地域を守る使命だと確信しています。
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参考資料
• 国土交通省「公共工事の入札及び契約の適正化について」
• 建設業振興基金「建設業の現状と課題(2024年度版)」
• 気象庁「近年の異常気象と自然災害の発生状況」