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2025.07.06

指差し呼称が“事故ゼロ”への第一歩

指差し呼称が“事故ゼロ”

意識と安全を身体に

刷り込む方法

 

「指差し呼称」とは、確認対象を指で差しながら、

大きな声で「〇〇ヨシ!」と発声する行為を指します。

これは、鉄道業界から始まり、現在では建設業をはじめとした多くの業界で取り入れられています

建設業の現場においても、安全意識の強化に効果的であることが分かっています。

 

 


 

なぜ「指差し呼称」は

効果的なのか?

 

1994年に鉄道総合技術研究所が実施した実験では、

指差し呼称を行った場合」の誤操作率は0.38%だったのに対し、「何もしなかった場合」は2.38%でした。

この結果は実に誤りの発生率が約6分の1になることを示しています 。

これには理由があります。

差し呼称では、視覚(見て)、聴覚(聞いて)、

運動(指す・声に出す)が

同時に働くことで、脳の前頭前野が強く活性化され、

「注意力・集中力」のレベルが高まるからです 。

 

 


 

「意識」と「行動」の

刷り込み効果

 

指差し呼称は単なる儀式ではありません。

それを習慣化することで、危険箇所への注意が無意識のうちに身につくようになります。

つまり、まるで身体に安全意識を

“刷り込む”ような作用があるのです。

特に法面工事のような高所や斜面での作業では、

ロープ、法面の傾斜具合、重機の動きなど、

一つひとつの危険箇所に対して

指差し+呼称」で確認することが、

安全作業の基本となります。

 

 


 

なぜ「1か所ずつ確認」なのか?

 

新しい現場に入る作業員にとって、見慣れない構造物や環境が多い現場は、多くのリスクを伴います。

そんなときに重要なのが、危険箇所を1カ所ずつ丁寧に指差し呼称しながら説明すること。

これにより、単なる口頭説明よりも圧倒的に定着率が高くなるだけでなく、覚えるべき場所」として脳内に記憶されやすくなるのです。

 

 


 

現場での実践例

  KY活動との親和性

 

私たち北摂constructionでも、朝礼やKY活動の際

「まず1カ所ずつ、指さし呼称」を実践しています。

• 「ここの地山は良いか…?…ヨシ!」

• 「周囲にに建物や重機はないか…?…ヨシ!」

このように口に出しながら指差すことで、

言葉に出す行為と視覚の確認がセットになり、

チーム全員の安全意識が自然と高まります。

 

 


 

指差し呼称を

するとしないとでは、

どう変わる?

 

現場でありがちな

「確認したつもり」「見た気がする」。しかし、

それが重大事故につながるのが建設業の現場です。

実際、指差し呼称をしないと——

• 危険箇所の見落とし

• 認識のすれ違い

• 「わかっているつもり」の慢心

こうした要因が重なり、ヒューマンエラーの温床になります。一方で、指差し呼称を習慣にしている現場では、

• 作業員同士の「声かけ」が自然に出る

• 初心者も“真似しながら”覚えやすくなる

• 危険の“空気感”がチーム全体に共有される

といった好循環が生まれます。

たった一言「〇〇ヨシ!」と指をさす行為が、

事故のリスクを劇的に減らす

“安全のスイッチ”になるのです。

 

 


 

「身体で覚える」

安全文化を作ろう

 

指差し呼称には、確認を超えたメリットがあります。

それは「繰り返しを通じて、無意識に安全意識を取り込む」という点です。

新入場時、初めての法面、重機の隣…どんな状況でも1カ所ずつ丁寧に指差し呼称する。

その行為を継続することで、安全意識は自然と習慣化され、無意識に危険を察知する“第六感”のような状態になります。

これが建設業の現場において、事故を未然に防ぐための確実な手段なのです。

 

 


 

まとめ

安全は「身体で覚える」もの

 

• 指差し呼称をすると、誤操作率が約6分の1に低減。

• 聴覚・視覚・運動の連携で、脳が覚えてくれる。

• 特に危険箇所は、1つずつ、指差し呼称しながら説明

  することで、定着率が格段に向上。

• 北摂constructionでは、朝礼やKY活動でこれを継続

  し、安全意識の定着に努めています。

 

指差し呼称」は小さな行為に見えますが、その毎日の繰り返しこそが、事故ゼロ、安全な現場を支える当たり前だけど本当に大切な習慣なのです。

 

 


 

〜引用出典〜

 

鉄道総合技術研究所による実験データ

鉄道総合技術研究所「指差喚呼の効果」

https://www.rtri.or.jp/rd/division/rd02/railway_safety/technique/safety_01.html

 

厚生労働省

「ヒューマンエラー対策マニュアル」

厚生労働省

「職場におけるヒューマンエラー対策マニュアル」

https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000818779.pdf

 

中央労働災害防止協会

(中災防)による安全衛生活動資料

中災防「安全衛生活動の手引き」など

https://www.jisha.or.jp(トップ)

 

※資料によっては有料または会員向け