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2026.02.01

天狗だと勘違いした日から、法面職人は伸び始める

 

法面工事の現場で考える

  「得意」と「慢心」の境界線

 

「天狗(てんぐ)になる」

この言葉、知らない人はいないと思います。

そして正直に聞きたいのですが、

天狗になったこと、ありませんか?

今現在、少し天狗になっていませんか?

私はというと、比較的冷静な性格なので、

正直そこまで頻繁にはなりません。

仮になったとしても、周りからすぐに笑われるので、

「あ、やってもうたな」と気づいて、すぐ元に戻ります。

ですが、世の中には天狗になりやすい人も確実に存在します。

ではそもそも、「天狗になる」とはどういう状態なのでしょうか。

 

 

 

天狗=悪?

 本当にそうでしょうか。

 

一般的に「天狗になる」と聞くと、

ネガティブなイメージを持つ人が多いと思います

 

• 調子に乗っている

• 周りが見えていない

• 偉そう

• 勘違いしている

 

確かに、そういう側面はあります。しかし一方で、こうも言えませんか?

得意になっている状態は、非常にポジティブだと。

自信がつき、「自分ならできる」と思える瞬間。

これは、成長過程において欠かせない感覚です。

特に建設業の現場では、

この「できる気がする」という感覚がなければ、

新しい工程にも、新しい役割にも挑戦できません。

調子に乗った若者が、どんどん仕事を覚えて成長していく姿これが結構好きです。

 

 

若者の天狗は「伸び代」

 中年の天狗は「痛さ」

 

ここで重要なのが、年齢と立場です。

20代、30代前半での天狗は、挑戦の副産物であり、伸び代でもあります。

若いうちは、多少調子に乗って、多少失敗して、多少叱られてもいい。

なぜなら、その失敗は先輩や上司がフォローできる範囲だからです。

しかし、これが40歳前後になると話は変わります。

正直に言ってしまうと、この年代で天狗になっていると、ちょっと痛いです。

「今さら何を調子こいてるん?」

「今まで何してたん?」

そう思われても仕方ありません。

この年齢になると、天狗というよりも、

 

• 身の程知らず

• 世間知らず

• ワガママ

• 自己評価だけ高い人

 

こうしたレッテルを貼られてしまいます。

この年代の人に求められるのは、派手な自己主張ではなく、淡々と失敗し、淡々と成功する姿です。

それが一番カッコいい。

 

 

中年以降は

 「全て自己責任」

 

この年齢になると、挑戦はすべて自己責任です。

 

• 失敗しても誰も守ってくれない

• 折れても、自分で立ち直るしかない

• フォローは期待できない

 

だからこそ、私は新しいことをやる時、必ず自己完結できる範囲で始めます。

周りを巻き込むのは、「成功する可能性が見えた後」です。

タイミングを誤ると、ただの「迷惑をかける大人」になりますからね。

天狗になってもいい。ただし条件が一つある

ここまで読んで、「じゃあ天狗になってもいいのか?」

と思った方もいると思います。答えは、YESです。

 

 

天狗になって、

 失敗していい。

 

だからこそ、若者はどんどん天狗になればいいし、周囲はそれをフォローすればいい。

ただし、絶対にやってはいけないことが一つだけあります。それは、ごまかすこと、人のせいにすること、

これだけは、絶対にダメです。

ごまかした瞬間、人は成長をやめる。

 

• うまくいった時は自分の手柄

• 失敗した時は他人や環境のせい

 

これは、言語道断です。

 

「誰も見ていないから」

「誰にも言っていないから」

「バレないから」

 

そう思う気持ちも分かります。

ですが、当の本人が一番見ています。

自分自身は、すべてを知っています。

それを本当にごまかせますか?自分に嘘をついて、前に進めますか?

失敗を隠した瞬間、人は成長の芽を自分で摘み取っています。

ごまかさず、正直に報告し、正直に公開する。

そこから初めて、次の成長が始まります。

 

 

成功も失敗も、

 蒔くまでは同じ種

 

面白いことに、成功の種と失敗の種は、蒔くまでは見分けがつきません。

やってみて、芽が出て、初めて分かる。

だからこそ、挑戦すること自体に意味があります。

天狗になって挑戦し、失敗して学び、成功して自信をつける。

この繰り返しが、人を本物にしていきます。

 

 

 

天狗とは何か

 日本文化の視点から

 

日本の中世以降の説話や仏教的な考え方では、天狗は次のように描かれてきました。

「自分は偉い」「自分は特別だ」

こうした慢心の心を持つと、人は天狗になると戒められてきました。

重要なのは、天狗は無能な存在ではないという点です。

天狗とは、

 

• 実力はある

• 才能もある

• しかし調子に乗った結果、道を誤った姿

 

このような位置づけです。

つまり天狗は、実力者だからこそなり得る存在でもあるのです。建設業の現場でも同じです。

技術も経験もない人は、そもそも天狗にすらなれません。

天狗になるということは、それだけ評価され、結果を出し始めている証拠でもあります。

だからこそ、天狗になった時こそが分岐点なのです。

成長するか、転げ落ちるか。

その違いは、ごまかさず、自分と向き合えるかどうか。

そこに尽きます。

 

 

仕事における

「天狗」と成長の参考資料

 

1. 松尾芭蕉『奥の細道』注釈書

 → 慢心を戒める日本的価値観の背景理解。

2. 柳田國男『妖怪談義』

 → 天狗を含む日本の民間信仰と人間心理の関係。

3. 仏教用語辞典(岩波書店)「慢(まん)」の項

 → 自己過信・慢心が成長を妨げるという仏教思想。

4. ドラッカー『プロフェッショナルの条件』

 → 自己評価と責任の取り方に関する実務的視点。

5. 厚生労働省「職業能力開発と自己評価」

 → 成長と自己責任の関係性についての公的資料。