目標値を把握することで、法面工事はもっと楽しくなる
法面工事の現場で
人の決定的な差
「休日でも予定を入れると、結果的にしっかり休日を楽しめる」この感覚は、多くの人が経験しているのではないでしょうか。
実はこれ、建設業の現場、とくに法面工事の施工管理にもまったく同じことが言えます。
予定も目標もなくダラダラ過ごした休日が、
結局なにも残らないのと同じで、目標値を持たずに施工を進める現場は、なかなか終わりが見えてきません。

漫然とした施工は、
必ず現場を重くする
現場を見ていると、職人の親方であっても
明確な目標を持たずに仕事をしている人が意外と多いと感じます。
「漫然と施工する」とは、目的や到達点を意識せず、ただ作業をこなす状態を指します。
この状態に陥ると、
次のような言葉が頻繁に出てきます。
• 「本気を出せば、これくらいすぐ終わる」
• 「まだ本気じゃない」
• 「本当はもっと稼げる」
しかし、現実はどうでしょうか。
こうした言葉を口にする人ほど、最後まで本気を出すことなく終わるケースがほとんどです。
普段から本気を出せない人は、残念ですが、いざという時も本気は出ません。
これは精神論ではなく、日々の行動習慣の積み重ねの結果です。
そして特徴的なのが、言い訳だけは非常に上手いという点です。
最終的には「条件が悪かった」「人が足りなかった」と理由を並べ、責任から距離を取るようにフェードアウトしていきます。
施工能率は、
経験者なら必ず読める
法面工事の現場では、ある程度の経験を積めば施工能率は必ず読めるようになります。
• この山なら、アンカーは1日何本いけるか
• この勾配・地山なら、法枠は1日何㎡進められるか
• 段取りと人員を考えれば、今日はどこまでが現実的か
これは「勘」ではありません。
過去の実績と現場条件から導き出される、事実ベースの判断です。
ここで重要なのが、その“読める数字”をそのまま目標にしないという点です。
目標値は
「少しだけ超えるところ」
に置く
目標値は、
「確実に達成できる数字」では意味がありません。
なぜなら、人は目標を達成した瞬間に必ず油断するからです。油断が生むものは何か。
それは、施工ミスや事故につながる行動です。
• 手順の省略
• 確認不足
• 声掛けの省略
これらはすべて、「もう余裕がある」という油断から始まります。
だからこそ、目標値は超えられるか、超えられないかギリギリのラインに設定する必要があります。
もし目標を超えられた場合は、それは「無理をした」のではなく、明日への貯金ができたということです。
現場後半で
目標を超えられる理由
現場の後半になると、
当初設定した目標をあっさり超えていく日が出てきます。これは偶然ではありません。
• 現場の癖を掴んだ
• 段取りが洗練された
• チーム内の連携が向上した
つまり、その山に適応した施工スキルが身についた証拠です。
この段階に入ると、人は自然と「今日も超えたい」と思うようになります。
目標が、「やらされる数字」から「自分で追いかけたくなる数字」へと変わる瞬間です。
工事竣工まで、
目標を細かく刻む
我々、建設業の現場における最終目的は明確です。
それは工事竣工です。
しかし、竣工というゴールだけを見ていても、日々の施工はうまく回りません。だからこそ、
• 今日の目標
• 今週の目標
• この工程の目標
と、細かく区切った目標設定が必要になります。
同じ現場でも、
• できない理由を探し続ける人
• どうすれば超えられるかを考える人
この差は、数年で取り返しがつかないほど大きくなります。
山の規模が違っても、現場の大小が違っても、目標を持つ姿勢そのものは変わりません。
毎日、勝手に目標を作っていい
最後にお伝えしたいのは、
目標は誰かに与えられるものではないということです。
毎日、勝手に作っていいんです。
そして可能であれば、
口に出して公言することをおすすめします。
• モチベーションが上がる
• 適度なプレッシャーがかかる
• 集中力が上がる
結果として、施工は間違いなく楽しくなります。
目標値を把握し、自分で設定し、それを少しずつ超えていく。
これが、法面工事をはじめとする建設業の現場を、前向きに、強くしていく方法です。
参考資料
1. ピーター・ドラッカー 著
『マネジメント ― 基本と原則』
(ダイヤモンド社)
→ 目標管理(MBO)の基本概念を体系的に解説。
2. 厚生労働省
「職場における目標管理の考え方」
→ 実務に即した目標設定と評価の整理。
3. 中小企業庁
「中小企業のための人材育成・目標設定ガイド」
→ 現場型組織における目標設定の実例。
4. JIS Q 9001(ISO9001)
品質マネジメントシステム
→ 目標設定と継続的改善(PDCA)の国際標準

