地震は止められない、法面被害は減らせる
大地震の被害を正しく知り、
これからの建設業に
何が求められるのか
日本は世界有数の地震多発国であり、これまで数多くの大地震を経験してきました。
地震の被害は、単に「揺れる」だけではありません。
津波、建物倒壊、火災、土砂崩れ、液状化現象など、
複合的な災害が同時多発的に発生することが、過去の震災から明らかになっています。
建設業に携わる者にとって、地震災害の実態を正しく理解することは、単なる知識ではなく「命を守る責任」と直結しています。
特に山間部や斜面を扱う法面工事では、地震と地盤変動の関係性を深く理解しておく必要があります。

地震によって発生する主な被害
地震が発生した際に想定される被害には、以下のようなものがあります。
• 津波による沿岸部の甚大な被害
• 建物倒壊による人的被害
• 火災の発生と延焼
• 山間部や造成地での土砂崩れ
• 埋立地や軟弱地盤における液状化現象
これらは単独で発生するのではなく、連鎖的に起こることが大きな特徴です。
過去の大震災を振り返ることで、その現実がより明確になります。
過去の震災が示す現実
関東大震災(1923年)
1923年9月1日、神奈川県西部を震源とするマグニチュード7.9の地震が発生しました。
この地震では、埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県・山梨県において、当時の震度階級で最大となる震度6を観測しました。
特に都市部では、火災旋風と呼ばれる、炎を巻き込んだ竜巻状の空気の渦が発生しました。
猛烈な炎と風によって、火災は急速かつ広範囲に延焼し、被害を拡大させました。
地震発生時刻が昼食時間帯と重なったこともあり、火の使用が多く、火災被害が極めて大きくなったとされています。
さらに、津波や土砂災害も発生し、死者・行方不明者は約10万5千人にのぼりました。

阪神・淡路大震災(1995年)
阪神・淡路大震災では、神戸市中心部をはじめとした都市部で大規模な火災が発生しました。
また、多くの住宅が倒壊し、道路が寸断されるなど、交通網に深刻な障害が生じました。
道路が使えなくなることで、消火活動や救助活動が遅れ、被害が拡大するという課題も明確になりました。
都市構造そのものが、災害対応に大きく影響することが浮き彫りとなった震災です。

東日本大震災(2011年)
東日本大震災では、震度7を観測した地域だけでなく、長周期地震動による影響が広範囲に及びました。
震源から遠く離れた大阪市などの高層ビル上層階でも、大きな揺れが確認されています。
また、東北地方から関東地方にかけての太平洋沿岸では、巨大な津波が襲来しました。
さらに、東京湾岸地域では液状化現象が発生し、住宅やインフラに大きな被害が出ました。

2024年 能登半島地震(令和6年)
2024年1月1日午後4時10分ごろ、石川県能登半島を震源とするマグニチュード7.6程度の大地震が発生しました。
この地震では最大震度7が観測され、津波警報が発表されるほど沿岸部に津波が襲来し、
各地で建物の倒壊、火災、土砂災害、液状化現象などが発生し甚大な被害となりました。
人的被害としては多数の死傷者が確認され、住家被害も広範囲に及びました。
また、ライフライン(停電・断水)や交通網の寸断といった二次的被害も大きな課題となっています。
この2024年の能登半島地震は、日本海沿岸エリアで津波・倒壊・火災・液状化といった地震の複合的な被害が
同時に現れた事例として注目されています。

今後想定される
大地震と都市特有の被害
今後、首都直下地震や南海トラフ巨大地震の発生が予想されています。
これらの地震では、津波被害だけでなく、大都市特有の被害が多く発生すると考えられています。
一般的に大都市で地震が発生すると、以下のような状況が想定されます。
• 古いビルや家屋の倒壊による生き埋め
• 外壁や窓ガラスの落下による負傷
• 通信集中や設備被災による電話・インターネット障害
• 人と車の集中による大渋滞と避難困難
• 郊外や山間部での土砂崩れによる道路寸断
• 鉄道の線路被害や安全確認による長時間運休
• 停電、都市ガス停止、水道断水などの長期停止
近畿一円においても、都市部と山間部が混在する地域特性から、これらの被害が同時に発生する可能性があります。
建設業・法面工事が果たす役割
こうした災害を前に、建設業の役割は極めて重要です。
特に法面工事は、土砂災害を未然に防ぐ「最後の砦」とも言える存在です。
地震による揺れは、斜面内部の応力バランスを変化させ、崩壊の引き金となることがあります。
そのため、適切な設計・施工・維持管理が行われているかどうかが、被害の大小を大きく左右します。
北摂constructionでは、自然と向き合いながら、斜面の安定を守る仕事に日々向き合っています。
災害が起きてから対応するのではなく、事前に備える。
それこそが、これからの建設業に求められる姿勢だといえます。

情報技術の進化と防災対応
関東大震災が発生した当時、震度は人の体感によって判断されていました。
現在では、震度計による機械観測が行われ、地震発生後約1分半で震度速報、約5分で詳細な震度情報が発表されます。
また、2007年から運用されている緊急地震速報により、強い揺れが到達する前に備えることが可能になりました。
さらに、高層建築物の増加に伴い、長周期地震動に関する情報も発表されるようになっています。
技術は進化していますが、最終的に現場を守るのは、
「人」と「施工品質」です。

おわりに
関東大震災から100年。
過去の震災は、私たちに多くの教訓を残しています。
地震は止めることはできません。
しかし、被害を減らすことはできます。
建設業、そして法面工事に携わる者として、
「自然を甘く見ないこと」
「備えを怠らないこと」
この積み重ねが、地域の安全を守り、未来へつながっていきます。
北摂constructionは、これからも近畿一円で、災害に強い現場づくりに向き合い続けます。

参考資料
気象庁
「関東大震災に関する解説」
気象庁
「日本の地震活動」
内閣府
防災情報のページ
防災科学技術研究所
公開資料
国土交通省
土砂災害防止に関する資料

