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2025.10.12

法面工事現場の暑さで怒りっぽくなる?

 

現場を守るために

  知っておくべきこと

 

暑さは「人間のせい」ではなく「気温のせい」。

「最近イライラしやすいな」

職長さんが怒鳴りやすくなっている気がする」

――そんなとき、つい「人間性の問題」だと片付けてしまいがちです。しかし実はそうではなく、その原因の大部分は気温の上昇にあります。

人間の脳は暑さや脱水でオーバーヒート状態になり、感情を抑える“ブレーキ”が効きにくくなることが分かっています。普段ならグッとこらえられる場面でも、気温が高いとイライラが爆発しやすくなるのです。特に建設業の現場は炎天下や直射日光の下での作業も多く、気温によるストレスが強く表れやすい環境といえます。

現場を預かる職長さんや親方が「暑さで怒りやすくなる」こと自体は自然現象に近いものですが、だからこそ対策を知り、実践することが大切です。

 

 

 

脳科学が明らかにする

  「暑さと怒り」の関係

 

① 脳の「感情制御力」が低下する

暑さによって体温が上がると、脳の前頭前野の働きが鈍くなります。前頭前野は「理性」「我慢」「感情コントロール」を司る部分であり、ここが機能低下すると人は怒りっぽくなります。

出典:McEwen, B. S. (2007).

Physiology neurobiology of stress and adaptation.

高温環境では脳温が上昇し、前頭前野の意思決定・抑制・感情制御が阻害されることが示されています。つまり、暑さは“冷静さ”を奪う要因になるのです。

 

② 暑さ=身体的ストレス ⇒ 攻撃性を誘発

暑さは「身体的ストレス」です。人間はストレスを受けると「闘争か逃走(fight or flight)」反応を起こします。交感神経が刺激され、心拍数や血圧が上がり、怒りや攻撃性が増幅されやすくなるのです。

出典:Anderson, C. A., & Anderson, K. B. (1996).

Violent crime rate studies in philosophical context.

この研究では「気温が高いほど暴力犯罪率が上昇する」という統計が示されており、暑さと攻撃性の関連が裏付けられています。

 

③ 実験でも「暑い=怒りやすい」ことが証明

実験で、涼しい部屋と暑い部屋に分けて参加者の反応を比較したところ、暑い部屋にいる人ほど相手への評価が厳しくなり、怒りの反応が強くなったと報告されています。

出典:Kenrick, D. T., & MacFarlane, S. W. (1986).

Ambient temperature and horn honking.

暑い日ほどクラクションを鳴らす頻度が高まるという調査結果からも、気温が攻撃性を高めることが分かります。

 

 

建設業の現場で

 暑さによる怒りをどう防ぐか

 

1. 休憩は“水分と気持ち”の補給タイム

水分補給はもちろん必須ですが、それだけでは足りません。休憩時間は「空気のリセット」の場でもあります。

冗談や雑談で場を和ませることが、怒りの連鎖を防ぐカギです。

ただし、人間関係には相性があるので「嫌われている人の冗談は逆効果」という現実も…(笑)。

だからこそ、リーダー自身が柔らかい空気を作る姿勢が求められます。

 

2. 怒りそうになったら「2秒待つ」

怒りの感情が込み上げたら、たった2秒でいいので「今ここで言う必要があるか?」と考えてみてください。

これだけで理性が戻りやすくなります。怒鳴る前に一瞬待つ、この“間”が現場の空気を守ります。

 

3. 一番暑いのは「新人」や「若い子」

実は、ベテランよりも新人や若手の方が暑さに弱い傾向があります。慣れない現場作業に緊張し、そこに猛暑が加わると「緊張 × 暑さ = 地獄」という状況に…。

そんな時、上司の怒鳴り声が加われば精神的に追い詰められ、重大な事故にもつながりかねません。

 

だからこそ、優しい言葉が命を救うこともあるのです。

 

 

北摂constructionが

  現場で実践する工夫

 

私たち北摂constructionは関西の法面会社として、多くの過酷な現場を経験してきました。その中で学んだのは怒りを減らす仕組みを作ること」です。

 

例えば:

 

• 法面工事の削孔や吹付作業では最新の重機を導入し、

   人が直接危険で暑い場所に立ち続けない工夫をする。

• 現場ごとに休憩所や日陰を確保し、

   水分補給と気持ちの切り替えを意識的に促す。

• 職長・親方クラスに対しても「叱るより伝える」

怒鳴るより待つ」を意識させる。

 

こうした積み重ねが、現場全体の空気を守り、

結果的に作業効率や安全性の向上にもつながります。

 

 

「暑さ × 建設業」

  という現実を直視する

 

建設業の現場はどうしても屋外作業が多く、夏場は40℃近い環境にさらされることも珍しくありません。その過酷さゆえに、怒りやすさ・事故リスクは高まります。

しかし「暑いから仕方ない」と放置していては、現場の雰囲気が悪化し、離職や人材不足につながります。特に技能実習生や特定技能で働く若い作業員が怒りのターゲットになることは絶対に避けなければなりません。

私たち北摂constructionは、関西の法面会社として地域の安心・安全を支える使命を持つ以上、「暑さ対策」=「怒り対策」と捉え、現場改善に取り組んでいます。

 

 

 

まとめ

  優しい言葉が未来を守る

 

• 暑さは人の脳に影響し、怒りやすさを増幅させる。

• だからこそ、休憩・水分補給・冗談などで

  空気を和らげる工夫が大切。

• 怒りそうになったら「2秒待つ」。

  これだけで事故や人間関係の崩壊を防げる。

• 特に新人・若手には、

  優しい声掛けが命を守ることになる。

 

建設業は地域を守る誇りある仕事です。その現場を安全で安心できる環境にするためには、技術や装備だけでなく、「人への優しさ」が不可欠です。

北摂constructionは、関西の法面屋として、これからも法面工事を通じて、働く人も地域も守る現場づくりを進めていきます。