北摂constructionが
考える法面工事の現場
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建設業界に根強く残る
「暗黙のルール」とは
建設業には、古くからの慣習や
“暗黙のルール”が数多く存在します。
私たち北摂constructionのような関西の法面会社としても、日々の現場でその影響を強く感じています。
とくに有名なのが「元請けからの下請けとして現場に入った会社は、その上位の発注者に直接営業してはいけない」というルールです。
このルールには法律的な強制力はありません。
しかし、現場経験の長い人であれば一度は耳にしたことがあるでしょう。
今なお業界内で強い影響力を持ち続け、現場の人間関係や取引の安定に関わっています。

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なぜ営業を
かけてはいけないのか
本来、営業活動は自由であるべきです。
会社の努力で新しい取引先を獲得するのは当然のこと。
しかし、建設業界では「元請けの顔をつぶす行為」にあたるとされ、強く敬遠されます。
例えば、元請けA社が長年の信頼関係を築き、やっと獲得した大型法面工事の案件。
そこに下請けB社が「うちに直接頼んでくれれば安くできます」と営業をかけたとします。
短期的にB社の利益は増えますが、A社が積み上げてきた営業努力は一瞬で崩れ去ります。
このような背景から、業界では下請けが上位に直接営業することは「仁義に反する」とされ、今もなお暗黙のルールとして根付いているのです。

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罰則もないのに、なぜ守るのか
では、法律的な罰則もないこのルールを、
なぜ守る必要があるのでしょうか。
答えは「信用」です。
たとえに法的に罰せられなくても、
一度でもルールを破った会社は「約束を守らない企業」というレッテルが貼られます。
その噂はあっという間に広がり、別の元請けや協力業者からの信頼も失いかねません。
確かに利益だけを見れば、上位会社を飛ばして直接契約した方が条件が良くなる場合もあります。
しかし、長期的に見れば信用を失うリスクの方がはるかに大きい。
現場が続いていく建設業という業界で、信用を失うことは致命的です。

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インターネット時代に残る
“やりにくさ”
近年、建設業でもデジタル化が進み、
インターネットやSNSから
直接依頼を受けるケースが増えています。
北摂constructionでも、
ホームページやInstagramを
通じて新規の法面工事の依頼をいただくことが多くなりました。
しかし、こうした便利さの一方で、現場では古い慣習が障壁になることもあります。
実際に「直接お願いしたい」と言われても、「この案件は元請け様の紹介だから…」と断らざるを得ない場面があるのです。
もちろん、中にはルールを気にせず営業をかける会社も存在します。
しかし、その結果として「信用を失った」「揉め事に発展した」という事例も少なくありません。
やはり“短期的な利益より長期的な信頼”を優先するのが現実的です。

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関西の法面会社が
直面するジレンマ
関西の法面会社である私たち北摂constructionも、
日々このジレンマと向き合っています。
現場の需要は確実にあるのに、慣習や業界独特の空気感が壁となり、自由に営業活動ができない。
これは関西に限らず、全国の多くの専門工事会社が抱える共通の悩みではないでしょうか。
法面工事は専門性が高く、地形や気象条件によって施工方法も大きく変わる「一点もの」の仕事です。
そのため元請けとの連携は欠かせません。
だからこそ、私たちは「暗黙のルール」を破るのではなく、正しい手順を踏んで信頼を積み重ねていく道を選んでいます。

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新しい受注の形をどう作るか
では、現代において下請け企業はどう生き残るべきでしょうか。
私たち北摂constructionが考える答えは「古い慣習を尊重しつつ、新しいルートを開拓すること」です。
具体的には
• ホームページやSNSを通じた情報発信
• 地域ネットワークを活かした紹介ルート
• 行政や自治体との連携による公共工事参入
• 技術力を可視化するための施工実績公開
これらを通じて、新規の法面工事の案件を獲得しつつも、既存の元請けとの信頼関係を損なわない工夫をしています。
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信頼を失えばすべてが終わる
建設業において
「信頼」は資金や技術と同じくらい重要です。
一度失った信頼を取り戻すのは非常に困難であり、場合によっては不可能です。
北摂constructionは、どれだけ効率化や利益拡大が叫ばれても、「誠実さ」を軸に据えています。
現場で培った信頼こそが、
次の現場につながる最大の資産だからです。

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まとめ
新しい時代の建設業と法面工事
建設業界の「暗黙のルール」は、時代遅れに見えることもあります。
しかし、その背景には人々が長年積み重ねてきた信頼と絆があります。
私たち北摂constructionは、関西の法面会社としてこの現実と向き合いながらも、時代に即した正しい営業活動と誠実な施工を重ねていきます。
そして法面工事を通して、地域に安全と安心を届けるとともに、建設業の新しい未来を切り拓いていきます。

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参考資料
- 国土交通省 建設業法
- 経済産業省 中小企業庁 下請取引適正化ガイドライン
- 建設業界専門紙・業界誌各種