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2025.09.07

人生はプラスマイナスゼロ?企業は違う

 

人生はプラスマイナスゼロ?

  企業は違う。

 

「良いことがあれば悪いこともある。結局、人生はプラスマイナスゼロだ」とよく言われます。

確かに個人の人生では、そう考えることで心のバランスを保ち、前向きに生きることができます。

しかし、建設業の経営においては、この考え方は致命的な落とし穴となりかねません。

特に中小企業や零細企業の場合

「今回の赤字は次で取り戻そう」という甘い見通しが、資金ショートという最悪の事態を招きます。

企業は基本的に「プラス成長」を続けなければ、たとえ帳簿上が黒字でも倒産に追い込まれることがあります。

現金が途切れる=支払いができない。それが即ち、

企業の存続を脅かす最大のリスクなのです。

これは北摂constructionとしても、日々の法面工事の現場で痛感してきた現実です。

 

 

 

昔は

「次の現場で払う」が通じたが

 

かつての建設業の現場では、

こんな会話が当たり前に存在しました。

「今回は現場に金がないから、次の現場で清算するわ」

昭和から平成初期にかけては、公共工事や民間工事の発注が多く業界全体に「次がある」という安心感がありました。そのため、未払いを一時的に抱えても、次の現場でまとめて精算すれば問題ないという慣習が成立していたのです。

しかし令和の今、状況はまるで違います。

次の現場が「まずない」あっても「金が回らない」。そんなケースが珍しくなくなりました。

だからこそ「次で取り戻す」という経営判断は、

まさに自滅への道です。

北摂constructionでも、関西の法面を中心に工事を請け負う中で、この厳しい現実に直面してきました。

1つひとつの現場で確実に採算を確保しなければ、企業の持続性は担保できません。

 

 

 

現場ごとの

  「精算主義」が生き残る道

 

では、この厳しい時代を建設業がどう生き残るのか。

答えはシンプルです。

「現場ごとにしっかり精算し、黒字で完結させる」。

この当たり前の原則を徹底することこそ、

唯一の生存戦略です。

具体的には以下の取り組みが欠かせません。

 

• 発注前の詳細な積算

資材費・人件費・重機稼働費などを丁寧に精査し、見積段階でリスクを洗い出す。

 

• 変更契約や追加対応の即時書面化

「口頭で約束したから大丈夫」という時代は終わりました。必ず契約書や覚書に残し、証拠を確保する。

 

• 現場ごとのキャッシュフロー管理

全体の資金繰りだけでなく、各現場単位の収支を明確化。赤字工事を放置せず、即座に対策を打つ。

 

• 協力業者との適正な契約と支払い

下請けに無理を押し付けるのではなく、適正価格で契約し、約束した支払いを守る。これが信頼関係を築き、次の現場につながる。

 

このように「精算主義」を徹底することが、

北摂constructionが法面工事を継続的に担うための土となっています。

 

 

法面工事こそ

  「一期一会」の気持ちで

 

私たち北摂constructionが専門とする法面工事は、

公共・民間を問わず、一つひとつが全く異なる条件の下で行われる仕事です。

地形・地質・天候・周辺環境、

すべてが現場ごとに違います。

そのため、同じ関西 法面工事といっても、二つとして同じ工事は存在しません。

だからこそ、

まさに「一期一会」の精神が求められるのです。

1つの現場を「安全に」「効率的に」施工し、確実に精算を終えて初めて、次の現場への道が開けます。

「今回は赤字でも、次で取り戻す」という

考えは通用しません。

法面工は一瞬の判断ミスが大きな事故につながる特殊工事であり、同時に地域住民の安心・安全を守る重要な社会基盤です。だからこそ、

1現場ごとの責任と誠実な経営判断が求められます。

 

 

 

“ゼロ”ではなく

  “積み重ね”の経営へ

 

最後に強調したいのは、建設業においては「ゼロ」ではなく「積み重ね」が重要だということです。

人生では「プラスマイナスゼロ」と考えて心の安定を保つことができます。

しかし企業経営では、赤字を「次で取り戻す」のではなく、「今回で黒に戻す」姿勢が不可欠です。

それができなければ、たとえ誠実に働いていても企業は消えていきます。

北摂constructionは、これからも関西の法面工事を中心に、誠実に稼ぎ、誠実に精算することを信条として歩んでいきます。

法面工事の現場で築く信頼の積み重ねこそが、建設業の持続可能な未来を切り拓く力になると信じています。

 

 

 

参考資料

 

• 中小企業庁「中小企業白書 令和5年度版」

• 国土交通省「建設業の働き方改革推進状況」

• 日本建設業連合会「建設産業における持続可能な成長

   戦略」