寒さも暑さも忘れる、法面工事中の眠気
足場の上で襲ってくる
“1Hzの力” と建設業のリアル
建設業に携わる人なら、一度は経験したことがある“不思議な眠気”。
特に法面工事の現場では、真冬の凍える寒さの中でも、真夏の容赦ない照りつけの下でも、なぜか突然眠気に襲われる瞬間があります。
削孔を待つ時間、足場の上での待機時間、作業が一段落したタイミング…。身体は疲れているのに、眠気の波は環境とは関係なく突然やってきます。
北摂constructionの現場でも、この「建設現場特有の眠気」に悩まされる作業員は少なくありません。
筆者である私自身も同じ経験を繰り返し、その理由を知りたいと強く感じていました。
結論から言えば、この眠気には明確な“科学的根拠”があります。
単なる疲労や寒暖差だけでは説明できない、人間の生理反応によるものです。

電車や車でも眠くなる理由
鍵は「揺れの周波数」
電車に乗るとウトウトしてしまう。赤ちゃんを抱っこして揺らすと眠りにつく。
これらに共通しているのは、身体に伝わる“微妙な揺れ”です。特に重要なのはその揺れの「周波数」。
研究によれば、1秒間に1回程度、つまり約1Hzの揺れが、もっとも眠気を誘うとされています。
電車の揺れ、車両の走行振動、そして抱っこのリズム…。
いずれもこの周波数帯に近い揺れを自然に生み出しています。
そして実は、法面工事の現場も同じ条件を生み出すことがあるのです。

足場の上で感じる「1Hzの力」
微細な揺れが副交感神経を優位
法面工事では、岩盤にロックボルトを施工する際のドリル振動やハンマーの打撃音が、足場全体に微細な揺れとして伝わります。
削孔待ちの時間、ふと足場に立ち止まると、まるで揺りかごに身を任せているかのような心地よいリズムが体に伝わってくることがあります。
このとき、生理学的には副交感神経が優位になり、身体がリラックス状態へと傾くことが知られています。
大きな揺れは身体を緊張させ、覚醒を促しますが、逆に微細で一定の揺れは眠気を強く引き起こすのです。
現場では暑さや寒さに気を張っているはずなのに、突然スッと力が抜けるように眠くなる…。
これこそが「1Hzの力」によって引き起こされる、建設業特有の生体反応なのです。

法面工事と眠気の深い関係
待機時間と環境が眠気を強める
法面工事は、建設業の中でも特に「待機時間」が多い作業です。
削孔、グラウト注入、資材運搬、段取り替え…。作業と作業の間に静止する時間が必ず生まれます。
この静止状態こそ、眠気を誘発する大きな要因です。
さらに、近畿一円の法面現場は山間部が多く、風の通り、斜面の微細な振動、気圧変化など、外的な要因も揺れのリズムを生み出します。
北摂constructionの各現場でも、標高の高い法面や地質の硬い現場ほど、揺れの影響を実感することが多いのが特徴です。
これらが重なると、たとえ真冬でも、汗ばむような夏場でも、状況に関係なく眠気が押し寄せてくるのです。

眠気は“怠慢”ではない
正しい理解が安全をつくる
現場で突然眠くなると、「気がゆるんでるんちゃうか?」と思われることもあります。
しかし、この眠気は決して怠慢ではなく、生理学的に自然な反応です。
むしろ、この現象を正しく理解し、対策を講じることこそ、安全管理において重要です。
北摂constructionでは、以下の取り組みを現場安全に活かしています。
1. 作業前の体調・睡眠確認
眠気が強い日は判断力や反応速度が落ちるため、朝礼で体調や睡眠時間を共有。
2. 手待ち時間の“覚醒ルーティン”
削孔待ちや段取りの空き時間に、軽いストレッチやエリア点検を実施し、体を動かすことで眠気を回避。
3. 振動・足場環境の改善
完全に振動をなくすことは不可能ですが、防振マットの設置や足場の安定化で揺れを最小限に。
4. 交代制作業による集中力維持
同じ作業を長時間続けないよう、こまめに作業交代を行い、眠気による事故を予防。
こうした取り組みは、近畿一円で法面工事を行う北摂constructionの現場で、無事故・無災害を維持するための大きな柱になっています。
1Hzが眠気を誘う理由
人間は“リズム”に
影響される生き物
1Hzの揺れが眠気を誘う理由は、脳が“規則的な刺激”に非常に敏感であるためです。
揺れという外部刺激が副交感神経を優位にすると、
・心拍がゆっくりになる
・血圧が低下する
・筋肉の緊張が解ける
といった変化が起こり、身体が睡眠モードに近い状態に入ってしまいます。
これは、赤ちゃんを寝かしつける揺れや、電車の居眠り現象と同じメカニズムです。
つまり、法面工事の現場は偶然にも“睡眠を誘う環境”が揃いやすいのです。
現場管理への応用
眠気を“知識”に変える
眠気を正しく理解すると、現場の安全性は大きく向上します。
北摂constructionでは、安全教育の一環として、
• 「微細な揺れは眠気を誘う」
• 「手待ち時間は眠気のピークになりやすい」
• 「眠気は危険の前兆である」
という基本を共有し、作業員が状態を自覚できるようにしています。
たとえば、眠気を感じたときは無理をせず作業を交代する、危険作業を避けて準備作業に切り替える、といった行動が自然と行われるようになります。
こうした積み重ねこそが、建設業の現場における事故を防ぐ最も確実な方法です。
眠気を侮らず、
現場の安全を守る知識へ
法面工事の現場で起きる“微細な揺れによる眠気”は、1Hzの力と呼ばれる生理反応が起こしている自然な現象です。
足場上の待機時間、削孔の振動、山間部の環境が影響し、電車で眠くなるのと同じ仕組みで眠気を誘います。
この眠気の正体を知り、適切に対策を行うことで、安全性の向上・事故防止・作業効率の改善につながります。
北摂constructionは、近畿一円の法面工事において、こうした科学的知見を現場教育に取り入れ、より安全で質の高い施工を追求し続けています。
眠気は敵ではありません。身体が自然に示すサインです。これを理解し、活かし、安全につなげることが、建設業の未来を守る第一歩なのです。

参考資料
1. 国立研究開発法人 産業技術総合研究所
「振動と睡眠の関係に関する研究」
2. 日本建設業連合会
「建設現場における安全管理マニュアル」
3. 北摂construction
現場報告書(2023–2025年)
4. 長谷川 M. (2018)
「1Hzの揺れがもたらす生理学的影響」
「睡眠生理学ジャーナル」15(2), 45–53

