法面工事とは?
法面(のりめん)とは?
「法面(のりめん)」という言葉、
日常生活ではあまり耳にしないですよね。聞いたことがないという方も多いかもしれません。
そもそも法面とは、道路や宅地造成などの工事によって作られる人工的な斜面のことを指します。
具体的には山や地面を削ったり土を盛ったりしてできる斜面を言います。
自然災害で崩れた崖なども、復旧工事で整備されれば「法面」と呼ばれる対象になります。
ちなみに、法面の
上端は「法肩(のりかた)」
下端は「法尻(のりじり)」と呼ばれます。
法面工事とは?
日本は山が多く、高低差のある土地が多いため、さまざまな場所で法面が発生します。
近年では、線状降水帯や台風、地震による土砂災害のリスクが増しており、
法面をしっかりと補強・保護することが重要になっています。
法面工事にはさまざまな種類がありますが、大きく分けると以下の3つです。
- 抑制工:斜面の変形や崩壊を間接的に抑える工事
- 抑止工:崩壊を防ぐために直接的に支える工事
- 落石防護工:落石による被害を防ぐ工事
また関連して排水工(はいすいこう)などの地すべり対策工事もあります。
法面工事の多くは、高所作業が必要となり、「親綱(おやづな)」と呼ばれるロープを使って、職人がロッククライミングのように施工を行います。
主な法面工事の種類
植生工(しょくせいこう)
植物の力で法面を守る方法です。法面の風化や雨による浸食を防ぎ、
景観の向上や環境保全にも役立ちます。ただし、構造的な崩壊を防ぐ力は限定的です。
主な種類は以下の通りです。
- (種子散布工)
種子と肥料などを水に混ぜて散布
- (植生シート工・マット工)
種子や肥料を含むシートを貼り付け
-
(植生基材吹付工・客土吹付工)
土と種を混ぜて吹き付け
-
(張芝工)
芝生を法面に貼る工法
モルタル、コンクリート吹付工
法面にモルタルやコンクリートを吹き付けることで保護する工法です。山間部の道路などでよく見かけます。
作業には「ラス金網」という金属網を法面に固定し、
その上から材料を「ガン」と呼ばれる吹付機で吹き付けます。施工条件によっては高い技術が求められます。
法枠工(のりわくこう)
法面を格子状のコンクリート枠で保護する工法です。
主に以下の3種類があります。
-
(現場打法枠工)
型枠を組んでコンクリートを打設
-
(プレキャスト法枠工)
工場で作った製品を組み立てる
-
(現場吹付法枠工)
型枠を使わずに現場で吹付施工
法枠の中にはモルタル吹付や植生工を組み合わせて施工することもあります。
ロックボルト工、アンカー工
斜面内部に補強材を打ち込むことで安定させる工法です
-
(ロックボルト工)
比較的軽い補強で、
主に地山を安定させる目的
-
(アンカー工)
高い引張力を持たせて、
より大規模な補強が可能
削孔(さっこう)の方法にも種類があり、地質によって使い分けられます。
腐食に強い素材を使うなど、品質の高い施工が求められます。
落石防護網工
落石を防ぐための、
金網やワイヤーロープを用いた工法です。
-
(落石防護網)
斜面上部からの落石を受け止めて、人や車を守ります。
高エネルギー吸収型のネットも存在します。
-
(落石予防網)
ワイヤーロープを格子状に張って、
不安定な岩を押さえ込む工法。
土砂の流出防止にも有効です。